令和は彼らの時代
半年に20枚ほどCDをレンタルし、月に2枚ほど購入する。昨月はASIAN KUNG-FU GENERATIONの「DORORO/解放区」ともう1枚シングルを買っている。
インディーズロックバンドのnatsumeのシングルだ。
これがね、たまらなく当たりだったんだ。実を言うとアジカンよりずっと聴いてる。先日MVが出たということで私にプッシュさせてください。
natsume -「stay」(Official Music Video) - YouTube
natsumeは横浜発の4ピースギターロックバンド。メンバーは真田樹(Vo./Gt.)・菅原佑哉(Gt.)・高橋光(Ba)・中瀬裕太(Dr.)の四人で構成される。
ファーストシングルにあたる「STAY」は繊細で技巧的なサウンドに、荒削りで若々しいリリックを乗せた素晴らしい出来。収録曲は「いつになっても」「遥か」「STAY」の3曲。1曲ずつ感想を述べさせてください。
一曲目の「いつになっても」はバンドの決意をこめた若々しい1曲。真田(Vo/Gt)の声とギター一本で始まり、メンバーのカウントで弾ける。Bメロでもう一度じっくりと歌い上げるパートに入り、サビ前で加速。サビはリリックとしては熱がこもっているのに、のびやかなメロディーがそれをよく中和して爽やかに仕上げる。
私が気になるのは曲名にもある「いつになっても」という言葉。これは、本来はいくつになってもだと思うんです。これが、いつになっている理由を考えるに、年単位よりも、秒単位で生きるという強調なのかなと。若いないいな。
そしてこの曲のサウンドといえば高橋さん(Ba)ですよ。いやぁベースの優秀さが光る1曲ですよね、かっこいいなぁ大好き。あとAメロのドラムも好き、ボーカルの間に入れてくれるの大好き。ライブで聴いたら泣いてまう自信ある。EGG'sで聴けるよ。
2曲目の「遥か」は真田作詞かなって予想してるんだけどどうかな?いつか歌詞カードを手に入れた時の楽しみに取っておきます。
切なく美しいリフからイントロはスタート。入りの真田の声も弱々しくて柔らかくて。「いつになっても」と比べればかなりシンプルな構成で大人しく聞こえるものの、痛々しいぐらいに歌詞が刺さる。女々しくていい。
忘れようとしても忘れられないことなんかきっと世の中には溢れていて。むしろ、忘れたいことなんか何一つ忘れられないことばかりで。それを詞にしないでくれ、辛い。ラストのまさかの言葉はリスナーにとっての爆弾だ。とりあえず歌詞読んで、気に入ったら買って。
どんなに綺麗な思い出さえ 僕を苦しくさせるだけ
僕が眠りについたとき 君をまた思い出すのかな
どんなに綺麗な思いさえ 溢れだしてしまう
どんなに綺麗な約束さえ ねぇ行かないでよ
君から貰ったこの愛は どこに捨てりゃいいんだ
君から貰ったこの愛は どこに捨てりゃいいの下りはRADWIMPSの白日を彷彿させますね。いい歌詞だなぁ。3曲中の最推し。
3曲目は表題曲の「STAY」。
ドラムの4カウントから和音へと繋がり、特徴的なリフへ。呟くようなボーカルを包み込むサウンドがサビに向け徐々に強まり、釣られるように感情が溢れ出す。Cメロは16ビートに喪失感をたっぷり乗せる。女声のようなボーカルが共感を煽る。そこから一気に熱を高め、ラスサビ、アウトロへ。
サビ終わりからCメロの始まりがイヤホンで聴くと左右順番に聴こえるのがかっこいいんだよお。
Cメロから急に女声感が強まるのは視点が変わるからなのかなぁと勝手に思っている。A.Bは彼氏の視点、C.Dは彼女の視点...なんてのは考えすぎですね。
歌詞としては「あなたの名前を呼んでいるよ」とのフレーズが好き。本当にどうしようも無くなった時に唱えてしまうのは、神さまなんかじゃなくて、想い人の名前だと思うのです。クリスチャンの八木重吉も「神様の名前を呼ばぬ時はおまえのなをよんでいる」って言ってるし。
さてさて結成の決意を歌い、彼女との思い出を憂う1枚は通して青い。そこが若々しくて苦々しくて酸っぱくていい。
彼らの音楽はMV公開後爆発的に広まった。「STAY」の再生回数は現時点で1100回を突破している。こうして彼らだけのものだったものが私たちの中で個々に生き始める。すると、彼らのリリースするものも徐々に変化し、青さを失うだろう。主観から客観へ、両目からレンズへ、君と僕との世界からもっと広げて。それでも夜の公園で揺れるブランコを見るような寂しさは残って欲しいと思う。
なんておこがましいな。素敵なシングルを聴かせてくださってありがとうございます!次作を楽しみにお待ちしております!(らす)
追伸
思ったよりも伸びたのでMVについても少し。
イヤホンつけてると左右順番に聴こえるって言ったCメロ直前でそれに合わせてパンする写真が素敵。明らかに元カレが撮ってるアングルなのがたまらない。キャストさんも衣装さんも可愛くて、言うまでもなくカメラワークも撮るべきところを真摯に抑えていて...彼らは私たちリスナーだけじゃなくて製作陣にも愛されているんだなぁと思いました。今見たらYouTubeの再生回数は1300回超えてました。もっと伸びろ。