Ni_bansenji

Ni_bansenji

語るタイプのオタクがおくるちゃんぽん感想文

もっとエビ展レポ

 2022年8月20日に「もっとエビ展 〜9 colors nude〜」に行ってきました。月並みな表現ですが本当に充実した内容でとても楽しかったです。

 私はエビ中を追い始めたのも昨年からですし、そもそもアイドルを今まで推したことがないし、こういう展示も初めてで、衣装を見て面白いだろうか?と思っていたんですが…。

 そんな初心者オタクが実際に行ってみた感想も含め、記憶が新しいうちに「もっとエビ展完全記録」的なものを書いてみたいと思って本稿を書いています。

ネタバレ込みですので少しでも行きたい気持ちがある人は注意してください。

 あと、これはうぬぼれですが、これを見て行った気にならないでください!本物すごかったので!各々諸事情あると思いますがチャンスがある方はぜひ。

 それでは、ここで鳴れ!ebiture!

私立恵比寿中学×ナタリー「もっとエビ展 〜9 colors nude〜」

 

チケットについて

 今回のエビ展の会場は東京と大阪。衣装の展示は各会場半期ごとに異なります。新型コロナウィルス対策のため、11:30、12:30等一時間ごとに枠を分け、入場制限を設けています(入場後一時間で退場等の規制はなかったのでご安心を)チケットを買う方法は当日販売と予約販売の二つです。予約販売はチケットぴあにて、公演前日から会期中の販売数量が終了していない公演を購入することができます。先着販売ですが、ある程度ゆとりがあるよう。予約しておけば当日受け取れる入場特典が2倍になるので来場を考えている人はこちらがよろしいかも。対する当日販売は予約で埋まっていない枠を当日列に並ぶことで購入することができます。どの枠が空いているかはタワーレコード渋谷店さんが開店時刻頃にツイートしてくれるので、それを参考に来場するのがおすすめです。

 私は19:30からの回を狙って10分前に8階の踊り場につきましたが、予約券を持っていたのは4人、当日券を求めたのは私を含め5人ほど。回によると思いますが、十分にチャンスはありそうですよ。

 

展示会場

 入ってすぐに出迎えたのは今回のメインビジュアル。スタイリストさんも、メイクさんもヘアメイクさんもありがとう、メンバーそれぞれに最適で最高のビジュアルです。今まで見たエビ中ビジュアルの中で最も好み。(最近のものではREBOOT青衣装とファミえんドクロ、ちゅうおん2021、ファミえんメンカラパーカーが好きですが、各面の顔面やヘアセットも合わせると今回がダントツ)

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 レジの前を通ると再びのメインビジュアル。ここが記念撮影ブースのようで店員さんにお願いしたら快く写真を撮っていただけました。ありがとうございます。裏面はさくらいはじめさんのイラストでした。このイラストが好きすぎてアクキー買っちまったよ。この9人のイラストのポストカード売ってくれ。


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 先述の記念撮影エリアの向こう側が会場になっていて、手前に物販、中央に展示エリア、奥にインタビューが流れるシアターという作りになっていました。決して広いとは言えない規模でしたが、そこから広がるのは圧巻のエビ中ワールド…。衣装、ポスター、吊看板、アルバムジャケ撮影時の小物に写真…目白押しでした。

順路に則って進むと左手には「仮契約のシンデレラ」から始まる過去衣装と過去楽曲のリリースポスター。衣装の足元のカードの色で誰の衣装かわかるようになっているのですが、金八衣装には青いカードが…。緑のマントのスーパーヒーロー時衣装と並んでいるのを見るとどうしても涙を禁じえませんでした。たすたすじゃん…。


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 他に過去衣装で印象に残ったのはでかどんでん。白のエアフォースワンの汚れがそういえばフリラをやってたらしいぞなんて記憶を呼び覚まし、ぐっと来たり。ぽーちゃん足大きいね。あと、今回結構衣装の汚れ探しを頑張ったんですが、見つかったのはリコナカヤマだけでした。

 順路右手にはdrawerメンカラ衣装。これが一番おもしろかったかも。f:id:rasuno_nibannsennji:20220821172320j:image三階席から見てるときには気づけなかった衣装の中央のレースがメンカラになっていることととか、襟元の作りがそれぞれ違ったり、真山の衣装がめっちゃ小っちゃかったりヒールが高かったり、ひなたのレースが切れてたり、普段絶対見れない靴の内面のメンバーの名前だとか…。個人的には謎にみれいちゃんのシューズ内部に一度消された桜木の名前が確認できたことと、みれいちゃんと安本さんのつま先にかなり傷があることが見つけてうれしいポイントでした。ツアー衣装ですもの、期間が長い分いろいろあるんでしょう…うぅっ…。f:id:rasuno_nibannsennji:20220821174106j:image 通路にも仕掛けがあって床面にメンカラの校章ロゴがあったり、キャッチコピーの釣り看板があったり。全方向おいしい展示になっていました。


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 シアター手前の中吉エリアにはジャケ写撮影に使われたであろう小物が。例のださいネオンや出店の看板等々。ラッカーで書かれた調のグラフィティやステッカーまでじっくり見れたのがよかったです。エビ中反抗期ってメンバービジュや表情だけじゃなかったんだと実感。


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 シアターを起点に折り返せば左手の壁一面に前回エビ10以降の写真がずらり。AD時の写真を久々に見ると、ゆのぴとののかが現在に比べ素人ぽくて一年ちょっとなのに成長を感じました(心菜は既にビジュ完成)。

 右手には浴衣イメージのファミえん衣装。ひなたのかき氷は体にピースのほうだったので汚れがわからず…。f:id:rasuno_nibannsennji:20220821172755j:imageこうしてならべると各々の衣装の作りがちがうのが一目瞭然。心菜とののかゆのぴの衣装は丈が短くつくられていたり、ぽーちゃんとりったんの衣装は丈が長いのを鑑みても周りのメンバーより大きくてこの二人ってやっぱりでっかいよねって思ったり、みれいちゃん心なしかひらひらして見えたり、安本さんのウエストがぎゅっとしぼられていたり…(愛)。足元に関しては例年そうですが、花道で走れるように足元がぬれていても滑りにくいようにがっしりした作りのスニーカーになっていたり。連れが気づいたんですが、真山と安本さんのスニーカーだけインソールが入っていて甲の薄さが窺えたり。f:id:rasuno_nibannsennji:20220821173615j:image


スタッフさんがどう魅せようとしているのか、どういう演出を想定しているのか伝わってくるし、ここにいないのにメンバーの体格や特徴がわかるの楽しすぎるな。

 メンカラパーカーはなんで展示しないんだろって話に連れとなったんですが、インスタ開いて納得。今日着てたからだよ(アイドルスクエア)。

 物販の手前にあるのはエビと天ぷらをモチーフにあしらったエビ展ネオン。


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こういうネオン流行ってますよね、かっこよい、家に欲しい(どこに飾るんだよ)、ピンバッチにしてくれ、あるいはステッカー。あ、今までの衣装の柄をプリントしたポストカードセットがあったらほしいです。

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メンバーインタビュー

 ここからはシアターで上映されていたインタビューの話を。シアターは展示スペースとカーテンで隔てられていて、座席の周りにはエビ中メンバー直筆と思われる漢字一文字と署名が飾られていました。照明の落ちた暗い空間で集中してインタビューを見ることができます。

 メモしながら見ていたわけではないのでここからは記憶している限り書きます。みなさんの記憶と照らし合わせながらニュアンスを楽しんでください。

 下線部が質問です。定番質問で既出のものは質問文を削っています。

 

真山

①メンバーカラーについて 紫は冠位十二階でも高貴な色。校長に選んで貰った。最初は好きではなかったけれど時と共に馴染んできた。真山も紫に寄って、紫も真山に寄っている。愛着のある色。

②ユニットを組むとしたら? ののかと莉子ちゃんで清楚ユニット 顔だけは坂道系

③ここ2.3年の変化は? 嬉しいことも悲しいこともいろんなことがあって、守ってもらって、20を過ぎてから力を抜かなきゃいけないと思った。肩に力が入っていたけれど大人の余裕ができた

④1日だけメンバーといれかわるとしたら? みれいちゃん どんな服でも似合うからみれいちゃんちのワードローブをひっくり返して片っ端から服を着たい

⑤一週間お休みがもらえたら? 旅行 東南アジアに行って日本にいるのと同じ生活がしたい。

⑪マルチタレント 有吉の壁のしおりちゃんポジをねらっている

⑥これからのエビ中を漢字一文字で 白 どうなるかわからない こういうところは真摯に 油絵の話なんですけど、白に塗り直して下から別の色が覗いていてもそれはそれで味になる。そんなふうに創造していけたら。

 

安本

① 緑はバランサー、自然な色でもある

②かほりこ 仲が良いから 歌詞に意味のないバカな曲をやりたい

③自分の中にテンションの基準点を作った 落ち込んでいるときはマイナスをゼロに戻すだけでいいと思える

⑦大人っぽいメンバーは? まやさん いい意味で大人は妥協だから 自分はこうと決めたらそこにひた走るまだまだガキ(真山の余裕が安本さんにはいい意味で妥協と言い換えられていて言葉選び安本さん!と思いました)

⑧歌っていて楽しい曲は? 春の嵐 他のアイドルには絶対にできないという自負がある

④みれいちゃん 自分と真逆だから

⑤旅行したい サウナにはまってるのでしきじとか

⑫ひなた よくいくんですけど ひなたの一番難しい曲をいっちょ(かわいい)に歌いたい

⑥力 個々の力はあるけど9人の力を出せていない気がする もっともっと研究して9人のパワーをみんなにあげられたら

星名

①ピンクはザアイドル もらえて嬉しかった

④ののか 一人っ子だから大家族に憧れる

⑤ヨーロッパに旅行に行きたい

⑧Family Complex 手を伸ばすところでみんなと目が合うところが好き名前の所も好き。

エビ中以外でなりたいものは? 女社長、美容とか全部知ってますみたいな

⑫カラオケに行くなら? ひなた イート・ザ・大目玉を最後までツインボーカルでやりたい

⑥互 ひなたと違う道をいくけれど、それぞれの道でお互い成功するように エビ中派お互いを思い合えるグループになれるように

柏木

①名前がひなただからオレンジかな

安本彩花 二人で歌で ハモリあう曲をやりたい

③変わったタイミングは新メン加入時とあいか転校時

星名美怜 長い足を体感したい

⑤各地のテーマパークを1日ずつ周りたい

⑧HOT UP!!! エビ中の全部って感じ

⑪50歳、60歳になっても今のメンバーと会う事。近々の夢は転校後エビ中のライブにファンとして行くこと

⑫メンバーとカラオケに行くなら? 心菜 あげ曲を入れてパーティーしたい

⑥繋ぐ 縁があって人と繋がって来たグループだからこれからも エビ中OGとして関わりたい

小林

①黄色はほっこりピクニックイエロー そうですよね?(????)

②ユニットは安本さんと風見 おじいちゃんとおばあちゃんと孫(それひじ神だろ)

④生まれ変わるならみれいちゃん 予定を詰めてないとむずむずするってのは自分にはできない

⑤遠出したい 飛行機で羽を伸ばして 沖縄に行きたい

シンガロン・シンガソン 自分の中に来てくれた人を笑わせたいっていうのがあって、曲としてもそういう曲。変顔とか振り付けとか。

⑪デザインとかイラストレータ

⑥味 未知のみでもある(小林さん漢字…)

中山

①美人さんがやっているイメージ、ブルーが好き 水色って清楚。口を開くと台無しなんですけど(好き)

②みれいちゃんと彩香ちゃんでぶりぶりな曲を

④生まれ変わるならののか 学生時代を満喫できなかったから

⑤家族でグアムに行きたい お兄ちゃんは働いてるから難しいかもしれないけれど

⑧HOT UP!!! 2017年のファミえんと2019年のファミえんをよく見返している

⑪舞台 演技がもっともっと上手くなりたい。1か月かけてみんなと作っていく感覚が好き

⑫彩花ちゃん これは本当にあった話なんですけど(本怖導入か?)知らない曲を入れちゃってメロもわからないけど二人で想像して歌った

⑥歩 エビ中は今は全力疾走じゃない メンバーが変わっても名前を残すため歩んでいく

桜木

①情熱の赤 グループの中心の色でもあるので他の色と緩和できるような優しい情熱の赤でありたい

②あやちゃんとりこちゃん ラップやダンスでバチバチな曲を

茨城県出身で、ヤンキーって言われるんですけど。自分自分だったけど弁当を優先させる順番だとか、エレベータを開けて待ってるだとかお礼を言われることで思いやりって大切だなと発見しました。

④ひなちゃん 上手く高音がだせないので、パワーのある低音ときれいな高音の切り替えをずっとやっていたい

⑤メンバーとお泊まりディズニー 1日目はランドで2日目はシー お揃いのコーデで満喫したい

⑧トキメキ的終末論 もらった歌割りが自分の音域にあってる(今日一生き生きと早口で話すので楽しそうなここなを見てたら覚えられなかった)

⑪ハリウッド女優 洋画が好きでドウェイン・ジョンソンと共演したい(人選〜)

⑫かほちゃん よく笑うし盛り上げてくれるから

⑥進 これからも進化していけるように

小久保

①愛知の家の周りの5月ごろの田んぼの色。ライトグリーンがいいってのはないけど、あの三色の中ならゆのはライトグリーンって言われることが増えた

③お話会来てくれた人とかファミリー見つけられるようになった

④キラキラキャピキャピがゆのにはない。みれいちゃんは誰とでも仲良くできるけれどがゆのには無理だから

⑤12時ぐらいに起きるいつも通りの生活を 家にいます

⑧愛のレンタル 春の嵐 静かだけど静かじゃない 聴く分にも好き

⑨ユニットはあやちゃん、かほちゃん 最近よく話すし同じグループになることが多いから

⑪本ばっかり読んでたので司書さん、有名どころは羅生門西の魔女が死んだが好き(そのあとに家では寝てるかゲームしかしてないって言ってたけど)

⑫ののか ゆのはアイドルばっか歌うけど黙って聞いてくれそう

⑬大人ってどういう生き物?変な人だなって思います、考えていることとか全然違う

⑥変 変化の変、変わるの変でもあります(同じだが?)

風見

①白は何にでもなれるから強い

③寝る時間削って練習してたけど、最近勉強とか「まいっか」と思えるようになった。今でも2階の端の人にも届けと思って踊ってるし、みんなと目を合わせるようにしてる(どうりで目が合う気がする)

⑤メンバーと一泊2日で出かけたい

⑧元気しかない FCでしか歌ったことけど 兄弟に名前書いてあるお菓子とか食べられちゃうことがあってバナナがない〜とか気持ちを込めて歌える

⑨りこちゃん、清楚な感じで風に吹かれながらsummer dejavu

④かほちゃん 料理が上手だって聞いたから いろんな人に食べさせたい

⑪女優

⑥一 昔じゃなく今のエビ中が1番っていってほしい、わたしが言わせる

 ツボなのは、清楚って自分から言ってるのに清楚ユニットに他メンからいれてもらえない真山と、宇宙人と揶揄られてるけど、逆に大人を変な人だと思っていたことが判明したゆのぴです。

 ひなたとみれいちゃんの漢字一文字は泣いたけど、一番心に来たのは安本さん。かつては

落ち込んじゃうときは必ず莉奈が支えてくれたんで、(中略)今後、私どうやったら立ち直っていけるんだろうって。いろんなことでぶつかると思うんですよ。『Quick Japan  vol.131』2017 株式会社 太田出版

って言ってた安本さんが立ち直る方法を手にしていたことが嬉しかったです。

終わりに

 ということでだらだら書いてきましたが、私流「もっとエビ展完全記録」でした。

 最初に、衣装展示とか面白いのか?みたいなことを書いたんですが、面白かったです。

 私は10年の歴史をリアルタイムで追えていないし知りきれないけれど、衣装を見るだけでスタッフさんの考えや想いを、インタビューを聞くことでメンバーの今の想いを少しは感じ取ることができた気がします。この節目に立ち会えてよかったです。

 スタッフさんとメンバーのエビ中愛を存分に感じることができたので、会期が終わるまでにもっともっとファミリーからエビ中愛を送れたらいいなと思います。

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 最後に、こんな長文を呼んでくれた人がいたらありがとうございます。主催して下さったナタリーさん、開催して下さったタワレコ渋谷店さんありがとうございました。

 

あ、グッズはアクキーを三つ。安本さんとりったん、みれいちゃんを買いました。かわいい。

君の隣にエビ中

 お久しぶりです。余韻が抜けずファミえんDay9を迎えたオタクです。

 本稿は、私立恵比寿中学が6月にデジタルリリースした「新未来センセーション」の歌割り答え合わせをしたく、作った記事です。

 ネット上の有識者様、下線部が怪しいところです。わかる部分があればぜひお力を貸してください。答え合わせは中吉で!

 ユニゾンはメンバーの名前とイヤホンの左右が合致するように書いてます。聴き分けの参考にしてください。

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「新未来センセーション」 

作詞:けんたあろは 作曲編曲:けんたあろは

 

星名Don't think 葛藤のこれしき

柏木】Oh no 不完全なコンディション

風見】Don't worry 擦り傷重ねて

中山こんなんじゃない

星名】大人に【小林】なるってこと謝ること

安本】のーのー! 美味しく食べること

桜木】金輪の際お断りです

真山】楽しくなきゃ始まらない

柏木桜木】日が昇り落ちてやり直し 

小林中山】今日の日は

柏木風見】しがないワガママも全部

小久保】不安です フワフワ 地に足つかぬ

ALL 】エビデイ フレフレ

 

柏木】巻き起こせ体は熱を帯びて

    今すぐ駆け出していくよ

風見】止められないほら時代の扉が壊されて

柏木風見】溢れ出す光の先に

安本】僕らがいた

ALL】手を振っていたような

真山中山】ようこそ 我らの時代へ

ALL】新未来センセーション

 

柏木】Lonely night 寂しいのにまた

小久保】So what! あしらうな謎理論

小林】Don't you know? 世界の法則

桜木】いついかなる 【星名】時もhug!

中山】トンネル抜ければ風吹いて

真山】So so 出会い頭注意です

風見】Only you つべこべ言わずに

安本】手を握って連れ出してよ

真山中山】したことないならすればいい

小久保風見】どんな日も

星名柏木】隣に君がいることで

小林】万事休さずまた残業です

ALL】エビバデ フレフレ

安本】逃げないで目を見て

    逸らさないでいつかの交わした約束

小林】明くる日も続く雷雨を浴びて

    なお笑って

安本小林】抱き締める西日の奥に

柏木】僕らがいた

真山】名前呼んでいたような

星名中山】ようこそ我らの時代へ

ALL】新未来センセーション

 

安本そうぞうしてごらん

真山】人生の彼方五里霧

小久保そうぞうしてごらん

中山】雲の上に広がる宇宙

星名小林そうぞうしてごらん

桜木】見たことない自分に夢中

柏木風見そうぞうしてごらん

ALL】君の隣に恵比中♡

 

ALL】巻き起こせ体は熱を帯びて

    今すぐ駆け出していくよ

ALL】止められないほら時代の扉が壊されて 溢れ出す光の先に

小林】僕らがいた

星名柏木】いたよね?

ALLそうぞうしてごらん

星名・  ・真山】大人になっても変わらず

ALL】そうぞうしてごらん

中山・  ・小久保】好きなものを好きと言える

ALLそうぞうしてごらん

桜木・  ・風見】世界はいつも溢れてる

ALLそうぞうしてごらん

安本】君の隣で手を振っていたような

真山風見】ようこそ我らの時代へ

小林桜木】いつだって最高潮のジェネレーション

ALL】それが新未来センセーション

 

 

雑感想

 新未来センセーション…歌詞も良いし振り付けも最高によかったですね…。

 これから生まれ変わっていくエビ中についての曲かと思ったら急に僕らがいたとか言い出しちゃうの本当にずるい。

 今までもこれからも、な曲なんですね…。なおかつ、いたのは君の隣なわけで…もう…ずるすぎる…。

 2番のサビも良すぎるし、恵比中♡のとこのフリなんてわかってても泣きますよ。良い。

 

 歌割り聴き取りは初めてやってみたんですけど、ののかとゆのぴの声の聴き分けができません。というか、オタクのくせに後半の安本さんの聴き取りができなかったのがショックです。ぜひわかる方…教えてください…。

 

 

 

個性と能力

 心理学の授業でシンパシーとエンパシーについて習った覚えがある。

 たしか、相手の体験と自分の経験を同一視することで共感することがシンパシーで、未経験の事象であっても他者を自分に投影できる能力がエンパシーであったと思う。

 つまり、想像力があれば他者理解ができる。裏を返せば、どれだけ言葉や体を交わそうとも、結局は頭の中でしか私たちは他人を知れない…と勝手に解釈している。

 私にとって思い入れのある言葉なのだ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの新曲タイトル「エンパシー」は。本稿はこの楽曲の歌詞、ジャケ写からメッセージを読み解くものだ。

 読んでも読まなくてもいいから、いややっぱちょっと読んでほしいけど、とにかく「エンパシー」を聴いてください。

 

 さて、来たる8月5日にリリースされる「エンパシー」は、アジカンの結成25周年を彩るシングルであり、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』の主題歌だ。

 7月21日に公開されたMVでその曲の全貌を聴くことができる。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『エンパシー』Music Video - YouTube

 

煎じ詰めりゃエンパシー

 映画の予告編で聴くことができたサビとは毛色の異なる哀愁漂うメロディーに載るのは、等身大の祈り。

 特にタイトルを回収する

時に激しい雨に打たれても 

夜に独り抱えた言葉でも

きっと哀れみも悲しみも煎じ詰めりゃエンパシーで僕らの魂の在処かも

との歌詞は秀逸だ。

 後藤正文は著書『何度でもオールライトと歌え』の中で、

それでも、ロックンロールだけは、泥だらけの荒野からでも「オールライト(大丈夫)!」と鳴らすものなんだと思っている。

と言っていた。

 この曲はそれをさらに乗り越えたように感じる。泥だらけの荒野で、ただ「大丈夫!」と勇気づけるだけでない。辛酸を舐めた経験が誰かを理解する能力に繋がる可能性まで示唆して、背中を押してくれる。なんて優しいんだろう。

 加えて「世界が叫んでいるぜ」とのフレーズも印象的。単体で聞くと、個を置き去りにしながら変わり続ける世界の混乱を描いているように聞こえるが、二度目のサビで

世界が叫んでいるぜ いつでも 君の名前を

とのフレーズが付け足されることで無縁と不安を払拭する。

 そして、「エンパシー」はアジカンが聴く者を救うだけに終わらない。ラスサビ前でゴッチが歌うのは、得た能力の使い道だろう。彼の言葉を借りるなら、

生まれた場所に基づく風景を 

虹彩や皮膚に紐づけられた

運命を打ち消して

ただ認めあうような将来を

  思想、個性、人種と解していいのか、自分の持たないものを想像し、理解し、分断を防ぐ。それが、傷を負って得たエンパシーという能力の使い道だと私は受け止めた。

 「エンパシー」は受けた痛みは想像力に変えて他者理解のために、なんてエンパシーの話に留まらず、この曲を聴いた者からそれを実行してほしいとの願いともとれる。

 アジカンに救われた者が、それを継承し、また誰かを救うなんてどこかの漫画みたいですね。

 25周年のその先を望む曲としてもぴったり。

 

ツールこそがエンパシー

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  続いてジャケ写の話を。

 アートワークはもちろん中村佑介。空を切るオールマイトや、アジカン25周年の手漕ぎボート、見覚えのある書名や、マルクス、制服はアカデミア意識かしら?なんて小ネタは置いておいて、なんでこの絵がエンパシーなのかを考えていたんです。

 意味深に停車線に乗り上げた船を囲むのは、そんな船などお構いなしに行きかうマスクをした魚たち。船に乗るのは、ロリータに身を包む猫の女の子とヤンキー然した犬の男の子。 それぞれは金棒と花束を持つ(なにこれ「こころとあたま」?)。

 思うに魚たちは一匹も同じ種類がいないことから個性を、船に乗る彼らは相違の象徴だと思う。このままでは社会を表しただけですよね。

 対するエンパシーの象徴は、彼らが持つ金棒と花束の事ではないか。それぞれが本来なら持たず、むしろ相手が好みそうなモチーフを手に取っているように見える。そんな二人は猫の手により接点を持ち、こちらを見つめる。 そして、この二人のみ断絶の象徴であるマスクをしていないのです。

 多様性を許す多文化社会の中での他者理解の絵だったらいいなと思います。

 

おまけ

 MV中の海岸を望む道路は、県道27号線。

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「何もない町」は三崎4丁目で海南神社の麓だと思います。

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  三浦半島アジカンのホームタウンだそうなので、早く京急とコラボするか、冗談で言ってた逗子線で曲を作るを実行してください。神武寺オールドスクール神武寺クローズドで曲を作ってください、アジカンさんお願いします。

 

 

もう二度と戻らぬ日がいつまでも

 

 映画館では口を開けていることが多い。小説や漫画を読んでいるときやドラマを見ているときはひそかに舌を噛んでいる。口を開けていると泣けないらしい。涙腺ゆるゆる人間からすると、口を開け続けるのはしんどいので、舌を挟むようにすると楽に止められるのでおすすめ。その姿がどれだけ間抜けであろうとも。

 先週、『花束みたいな恋をした』で舌を噛んできた。余韻を楽しみ和やかに話しながら出ていく人とは対照に、顔を隠しながら小走りで出ていったお兄さんは私の同類だと思う。

 ただ、この映画を泣けるとかエモいとかで終わらせたくないのです。舌を噛まずとも泣かずにいられる理由は絶対ある。だから、あのお兄さんも私もあんなに泣かなくてよかったんじゃないかなと思う。

 うん、どんどん「はじまりはおわりのはじまり」だとか「自分と相手は違う人間だ」なんてのを悲観する映画ではなかったと確信を持ち始めました。本稿は、その考えに至った理由をつらつらと述べ、最後にタイトルの意味を考察しようと思います。

 ありがたいことにはてなブログ公式さんから花束言及ブログとして選出いただきました!

https://blog.hatenablog./entry/2021/02/25/170000

 

 すみません、入れ忘れました。ネタバレ含みます。ご注意を。ラストのネタバレは入れてません。

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 前書きはさておき、カルチャーを中心に映画の核心に迫りたいけれど、きのこ帝国にもフレンズにも明るくないのでやめておきます。だから、以降ではイヤフォンの話と「花束みたい」って何のことだろうって話をしよう。

 

 まずは、イヤフォンについての話。

 映画は2020年の麦と絹がイヤフォンを分け合って音楽を聴くカップルに苦言(?)を呈そうとするシーンから始まる。そこで二人が発する「分けちゃダメなんだって、恋愛は」「恋愛は一人に一個づつ」とのセリフはこの映画の核を象徴するものであると思う。イヤフォンはその後も二人の関係性を示す存在としてほのめかされる。

 次にイヤフォンが出てくるのは、居酒屋のシーン。すぐにもつれるイヤフォンを示し合い、こんなところも似ていると強調しあう二人。その次はプレゼント交換のシーン。彼らは互いにBluetoothイヤフォンを贈る。ここまでのイヤフォンは二人を同じ存在として絡める役割を持つ。

 対して、ふたりがすれ違い始めた後のイヤフォンは遮断のために使われる。絹のゼルダのプレイ音を消すために仕事中の麦はイヤフォンを使う。そんな麦を見つめる絹の顔が忘れられない。互いに贈ったイヤフォンが一人になるために使われることのやるせなさ。

 そこからの彼らはことごとくすれ違っていく、昔のように趣味を共有したい絹は「学生気分」と麦にののしられ、これからのために働く麦は「なんでお金ばっかになるんだろ」と絹にこぼされる。今を楽しみたい絹だって、責任を感じる麦だってどちらが正しいとかないじゃないですか。二人が悪かったのは自分の理想を相手にとっての理想と思い込んでしまった、その一点だけ。

 その後もズレを感じるシーンは続く。葬儀後のシーンでは先輩にフォーカスを当て、二人の認識の差を描く。似ているところばかり探した二人はやはり別々の人間だったとつきつけられる。

 だから別れたのちに彼らが思うのは「恋愛は一人に一個づつ」なのだと思う。どんなに似ている二人でも、どんなに愛する二人でも、時間をかけて近づいたってふたりはひとつじゃない。彼らはもっと分かりあおうとする必要があった。それができなかったから、魔法にかけられた一人を二人に戻すのが二人の恋の終わりなのだ。

 だけど、2020年の彼らはまだお互いに贈ったイヤフォンを持って、同じカフェで、同じカップルに同じ感想を持ち、同じタイミングで立ち上がる。一人でいる時間を作ったイヤフォンが再び二人を繋ぐ。違う人間だって気づいたのにそれでも二人は似てしまう。それは感性が似ているからではなく、同じ時間を過ごしたからだと思う。同じタイミングで前を向いたまま手を振ったのもそう。別れてしまったってあの5年を悔やまなくていいし、やり直そうとする必要も、なかったことにする必要もない。あの頃、気が合う人がいて、最後はうまくいかなかったけれどそれまでは楽しかった。そんな風に振り返ればいい。

 

「楽しかったことだけ思い出にしてしまっておくから」

 これが花束の正体だ。映画を観終わったときはドライフラワーにもできず、剪定して花瓶に飾ることもできない一瞬が花束なのかもしれないとか、いろいろ考えたけど、やっぱりそれは違うと思う。きっとこれに違いない。

 観終わった時はスピッツの「アパート」を聴きながら帰ったけど、きっとこの映画に近い曲はアジカンの「触れたい確かめたい」か星野源の…。いや、やっぱり教えられません。思いついた人がいたらそっと教えてください。その時は分身なんて思わずに大事にします。

 

 

追記

 

 文中の「時間をかけて近づいたってふたりはひとつじゃない」というフレーズはズーカラデルというバンドのころがるという曲の歌詞です。引用表示を避けてしまい申し訳ございません。

 

 映画の中では麦が絹の言葉を巡らせながら、舞い上がっていくシーンが好きです。あなたが好きよりもあなたの作品が好きの方がずっと素直に受け止められる気がするので。思ったよりもviewが伸びた感謝の代わりに。

 

 「花は毎年必ず咲きます」な呪いをかけないシーンも良かったですね。ただマーガレットってそれっぽい花言葉がないんですよ。この花がもしゆうなだったら咽び泣いたと思います。

 

 あと、最後に一つ。

 趣味の話をできる人が周囲からどんどん減っていく、なんて感想を見て映画を見に行ったんですが、これにも異議を唱えたい。

 2020年の麦の首元にはイヤフォンがかかったままだった。音楽を楽しむ余裕ができたんだなと思った。日常にすり潰されて、羊文学だとか新しいものが追えなくなったってカルチャーは楽しめる…と信じたい。

 

 

私の考える最強のスピッツ

 先日、スピッツの最新アルバムである『見っけ』が発売された。それと同時期にスピッツサブスクリプションが解禁された。後者は私にとって画期的な出来事で胸が震えた。

 これでファン層が広がる。同年代にもう懐メロとは言わせない。今夏に受けた「スピッツなんて」なんて言葉は執念深いから一生忘れてやらない。ウォークマン信者の私が胸を熱くした理由がこれだ。

 

 さて、「スピッツが好き」というと、「どのアルバムがおすすめ?」と聞いてくれる優しいお方も度々いるのだが、私はその質問にきちんと答えられたことがない。

 だって私の好きな曲はアルバムに散り散りで、1つになんか絞れないんですよ!!!!

 だから、サブスクが解禁され、ファン層が広まりそうな今、私の好きな曲をプレゼンしようと考え、書き始めたのが本稿なのです。

 そのため、本稿ではアルバムを横断しながら私の好きなスピッツの楽曲を勝手におすすめしたいと思います。

 

1.さらさら

2.プール

3.船乗り

4.フェイクファー

5.春の歌

6.ワタリ

7.死神の岬へ

8.恋は夕暮れ

9.若葉

10.HOLIDAY

11.惑星のかけら

12.花と虫

13.YM71D

14.見っけ

 

1.さらさら

 自己肯定感が欠けらも無い僕が君を想うことで日々を繋ぐ曲だと解しているんですが、それだけには終わらない。

 最も好きな歌詞は「歪んでいることに甘えながら」というフレーズ。自己が嫌いということは結局は甘えでしかないとバッサリ切ってくれる。だからこの曲は、まず自分のことを嫌いな誰かを共感させ、それを前述したフレーズで刺し、「100度目の答えなら正解」と悩んで得た答えを肯定してくれる。閉鎖的に見えて、ラストに向かうごとに開放や前進の色を強めてくれる、夜明けを思わせる曲です。

 ラブソングだと捉えていないので触れなかったんですが「眠りにつくまでそばにいて欲しいだけさ 見てない時は自由でいい」とのフレーズも秀逸。

 

2.プール

 本曲が収録されている『名前をつけてやる』は間違いなく名盤。「あわ」か「恋のうた」も選出するか非常に迷いました。

 夏って爽やかで眩しい季節だけれども、省みてみるとどの季節よりも胸を締付ける切なさを持っている。この曲はどの歌詞が、とかではなくて曲を構成する全てがその狂おしいほど愛おしい夏を表している。草野マサムネの気が抜けた歌声が最も似合うのではないだろうか。バンドサウンドとしても均整がとれていて全てのパートがクリアに聞こえるところも好きです。

 

3.船乗り

 4本の手を持つ我らが守護神(?)崎山龍男節が存分に生きる1曲。

 ドラムもかっこいいんですが、メロディーラインが素晴らしい。サビの前まではスタッカートを多用することで、貯めて貯めて、サビで一気に伸びやかに解放していくメロディーが爽快感を与える。

 歌詞は、旅立つものの高揚を乗せる。が!「すぐに終わりがあってもね」なんて、喪失を前提にした弱々しい一面も見せてくれるから...まったく...もう...好き...。

 とはいっても壮観すれば、大いに強気な歌詞。聴くものに勇気を分けてくれるはず。(私は大事なイベントの前に必ず聴きます)

 

4.フェイクファー

 淡くて柔い恋心を歌った曲です。マサムネさんは恋の狂気をテーマにした曲をよく書いていると思うのですが、この曲は、それでもなく、失恋でもなく、もっと触れられないような脆い心を歌っているようで好きです。だって、曲調も歌詞も、明確なものは何もないのに、叶っていない気がするんですよ。

フレーズとしては「分かち合うものは何も無いけど 恋の喜びに溢れてる」という歌詞がすごく好きで、相手を思う気持ちって実は自己利益のためで醜いなぁ、なんてこの歌詞を読んで考えたこともあります。

 実を言うと『フェイクファー』が最も好きなアルバムです。

 

5.春の歌

 言わずと知れた名曲。CMソングにカバーにと大活躍なこの曲は著名人にも愛されていて、漫画家の羽海野チカ氏がこの曲を聴きながら「三月のライオン」のプロットを作ったなんてエピソードまであります。

 マサムネさんの歌声が力強く、挫けそうな時に背中を押してくれる曲です。

 中でも好きなフレーズが二つあります。1つは「愛も希望も作り始める」というフレーズ。愛も希望も自らが"作る"。与えられるものでもなく、探しに行くものでもなく作り出さなければならない。手厳しい現実を突きつけられますが、同時に勇気の湧くフレーズ。2つ目は「忘れかけた 本当は忘れたくない 君の名をなぞる」というフレーズ。君の名をなぞるの片思い感が愛おしい。

 

6.ワタリ

 あぁお前、『スーベニア』ダブってるじゃんか。それでもこれは入れたかった。

 先日、「関ジャム」のスピッツ特集に出演していた川谷絵音氏の好きな楽曲。

 8ビートから始まるいかにもロックな1曲。「scat」が好きな100人に96人はこの曲も好きと答えるでしょう(?)。サウンドに合わせて歌詞も尖っている。「額に納まった世界が軋む」なんてロックですよね。

 歌詞はサビの前までは痛々しいほどに自分を責めて自分を傷つけているのに、サビではそれでも進めと促す。「ヒビスクス」も似たような歌詞の構成になっていると思うんですが、いかがでしょう。「私以外私じゃない」から誰かを傷つけても己が傷ついても先が見えなくても、お前が飛ばなければならない、なんて読み方をしているけれどいざしれず。

 

7.死神の岬へ

 ビートの取り方は「優しいあの子」 と変わらないのに歌う内容は正反対。だって入りの歌詞が「愛と希望に満たされて 誰も彼もすごく疲れた」ですよ。すっごいパンチが効いている。

 さらには「死神が遊ぶ岬」「2人で壊したら」「青白い素顔」なんてフレーズが散りばめられる。あれ、これってどう考えても心中の曲。

 ただ、私はこの曲が内蔵する死について語るつもりはなくて、この曲の景観について語りたい。例えば「痩せこけた鳥たち」だとか「風に揺れる稲穂」だとか「ガードレールの傷」だとか、寂れた岬が的確に描き出されている。

 渚だとか海岸通りだとかってよく曲にされるけど、岬の寂れ具合って曲にされないじゃないですか。剥げかけた緑のフェンスと立ち入り禁止の看板と伸び放題の背の高い草に、野良猫の集会。そんな地元の風景を思い起こしてくれるからこの曲が好きです。

 

 

8.恋は夕暮れ

 題からもう最高ですね。これは歌詞カードを音読したい。詩人草野マサムネの最高傑作だと勝手に思ってます。

 ホーンが入るからスピッツらしくないと敬遠する方もいるかもしれないけれど、必要なところにしか入っていないから決して曲の邪魔をしない。むしろか細い歌声やささやかな楽器隊を引き立てるよう。というかこの曲ってホーンが入らないと切な死をする人が多出するのでは。

「恋は待ちきれず先急ぐ桜」「恋はささやかな悪魔への祈り」吐血物ですよね。無粋なので解説はしません。

 最新アルバム『見っけ』には、「ヤマブキ」という透き通るロックチューンがあるのですが、その2番で「恋はヤマブキ」という歌詞があります。1番で歌うヤマブキはどうやら高嶺の花のことらしいのですが、2番はヤマブキ色の事かと考えています。だってそうとるなら、マサムネさんにとって未だに「恋は夕暮れ」なのだと取れるじゃないですか。だったら素敵だなぁなんて考えながら新譜を聴いています。

 

9.若葉

 スピッツのバラードの中ではダントツ(嘘です、コスモスとめちゃくちゃ悩みました)。切ないメロディーと感傷を重ねられてしまって涙しない人間がいるだろうか。フレーズの終止がほとんど過去形なのが、全てが今更どうにもならないことを感じさせて胸が痛い。

 「泣きたいほど懐かしいけど ひとまず鍵をかけて」「今 君の知らない道を歩き始める」のフレーズが前を向くためには、愛しい思い出を断ち切らないといけないということを明示しているのも辛い。

 これ1曲だけ聴いていると立派に鬱になれるので、アルバムの後の曲「どんどどん」も合わせて聴こう。カタルシスを感じてくれ。

 

10.HOLIDAY

 こうやってさ、HOLIDAYを勧めるとみんな鼻で笑って言うんだろ?知ってるよ!ストーカーで悪かったな!!!

  そう。おっしゃる通り、軽快なギターに恋煩いを乗せるストーカーソングですよ。「朝焼けの風に吹かれてあてもないのに 君を探そう このまま夕暮れまで」で、朝から晩まであみだくじを辿るように、虱潰しに君を探す僕が気持ち悪いんでしょう。

 しかし!会える訳もない休日に、対向する人波から君の影を探した経験がない人だけが、石を投げなさい!

 そもそも人の好意って相手の心の持ちようじゃないですか。好意のある人からの好意は胸が踊り、興味ない人からの好意には虫唾が走る。もうね、こんなのいちいち気にしてると頭がおかしくなりそう。人間関係が怖いんだよ!!!

  失礼しました。お綺麗な人間じゃないからこう言う人間くささがむちゃくちゃに愛おしいのです。

 

11.惑星のかけら

 初期のパンクな楽曲。イントロのギターが泥臭くていいです、若々しさを感じる。

 歌詞としては「僕に傷ついて」とのフレーズが大好き。どうでもいい人にされて嬉しいことはあっても、どうでもいい人にされて深く傷つくことってないですもんね。遠回しな手に負えない恋煩いの曲。

 

12.花と虫

 旧譜でなんて終わりません、新譜は常に最高傑作ですから。

 最新作『見っけ』において、もっとも世間のイメージするスピッツに近いとメンバーは評する。野原を散歩するような和やかで爽やかなメロディーに、穏やかなバンドサウンド。何を隠そう、本曲は「なつぞら」のOP候補だったそう(詳しくはお願いだからMUSICAを買って読んで下さい。大好きなので。)

 それなのにそのメロディーに乗せるのは、未来に対する不安、過去に差す影、現在を潰す劣等感。それだけに終らず、望郷やノスタルジーまでを重ねる。せつない成分をぎゅっと丸搾ったファン層をわかっている1曲。

 

12.YM71D

  最近のスピッツとしては異色。ディスコミュージックのようなビートが聴く者を惹き付けるこの曲。山下達郎氏の「Sparkle」のような曲をという制作意思があるそう。最近ではサカナクションがこういった80年代を思わせる楽曲を作っているイメージです(双方に殴られろ)。

 私はこの曲に淫靡な印象は抱けず、「初めては怖いけど」からあぁこれも未知の領域に手を伸ばし続ける曲なのだなぁと思ったのですが、皆様はいかがでしょうか。

 入りの「誰かと一緒にいたいけど 誰でもいいわけじゃなく」というフレーズは可愛くて可愛くて抱き潰してしまいそう。うーん、メロディーは確かにえっちだけど、やっぱりそうは私は取れんなぁ。

 

13.見っけ

 最後を締めるのは最新作のタイトルを冠する、アルバムオープニングチューン。NTT東日本のCMソングにもなっています。カノン調に上がっていくハイトーンのメロディーラインと、どこか懐かしさを感じるギター・ベース、それを引っ張るドラムが癖になるライブで聴きたい爽やかな一曲。

 「再会へ!」「近いぞ ゴールは」「すぐに場外へ」と前向きなフレーズが多く、私が勝手に思っている『見っけ』のアルバムコンセプト「大人になっても手を伸ばし続けよう」(誰だ勝手に決めたのは)を象徴する。

 そう!最新作には彼らの「開拓精神」が溢れている。彼らは現状に甘えない。だから、愛しい思い出を杖にしながら、未開拓の地に足を踏み入れ続ける。 そんな茨の道を歩む彼らが「見っけ」たのは…。こちらはアルバムを聴いて実際に感じて欲しいです。

 彼らは決して古くならない!そして全く別の新しいものに変わってしまったりもしない!この曲を聴けば、新しさとらしさを感じることが出来るのでは。

 

 以上、Mステ出演を待つ、一介のスピクラがお送りしました。拙い文章でもスピッツの良さが伝われば幸いです。

 

 5000文字越えの長文を読んでくださった方、ありがとうございました。

 それでは、また。

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BUMP OF CHICKENでロック大陸漫遊記

 つまりはBUMP OF CHICKENで漫遊記の書き起こしです。

 

 残暑ですが秋です。かつて熱烈なRADWIMPSファンであった私としては、九月三日を過ぎてしまえば立派に夏は終わったと思っています。

 そんな私の夏を締めくくったのは「ロックのほそ道」。ス敵なライブで興奮冷めやらず、その後三日間余韻に悩まされました。何にも手につかず、スピッツしか聴けない。仕方ないからセトリを組んでプレイリストを成してみても、スピッツが離れない。これは、由々しき事態でありました。実は私は9月11日にBUMP OF CHIKENのライブを控えております。何とか仙台に残した気持ちを振り切って、大阪に旅立たねばならぬ。

 そんなときですよ、開いたTwitterに表れたマサムネさんがラジオでバンプを紹介しているとの情報。急いでradikoを立ち上げ、SPITZ草野マサムネのロック大陸漫遊記を聴く(放送日は9月1日)。ぐああ!!ありがとうマサムネさん!!おかげさまで、私は通常運転に戻ることができ、バンプの聴きこみに入ることができました。

 

 さて、ラジオを聴いていた際、私は勉強中でした。しかし、興奮のあまり、その時間に私のノートに残ったのはマサムネさんの曲紹介の書き取りのみ。これを私のノートのみに残しておくのはもったいないと思ったので、ここに残しておく次第でありまス。

 

 以下は「BUMP OF CHIKENで漫遊記」の書きおこしです。が!!大学生として100%引用は避けたかったのでバランスを取るために地の文を入れてます。ご了承ください。

 

 さてさて、この企画はコレクターズ以来の邦楽アーティスト一色特集。敬愛する草野マサムネ氏は、BUMP OF CHIKEN(以下バンプ)をファンとして聴いているそう。選曲は彼曰く、ガチのファンからしたら普通と思われるかもしれないとのこと。いやいや確かにメジャーだったけれど、まさか新譜まで聴いているとは。前置きは、これくらいにして参りましょう。

 

 ①オンリーロンリーグローリー

 

聴きながらめちゃくちゃ盛り上がってしまいますね。何も言えねえみたいな。でも何も言わないと番組が進行できないので語らしていただきますが。

バンプの曲の中でねぇ、この曲、一番好きですね。初めて聴いたとき泣きそうになっちゃって。これたぶん思春期に聴いてたら、俺ね泣き崩れてたと思います。肥大化した自我に許しを与えてくれる歌って感じですかね。

個人的にはね、これ2004年の曲なんで、球界再編のごたごたともリンクしてるんですけど、記憶ではね。俺の中でBUMP OF CHIKENといえばまずオンリーロンリーグローリーって感じかな。

あとこれ、ヘッドホンで聴くと、二本のギターが左右でじゃかじゃか鳴ってすっごい気持ちいいんですよね。このオンリーロンリーグローリーが入っているアルバム『ユグドラシル』は隠しトラックも含めて外れ曲なしというすごいアルバムだと思いますね。

これねカラオケで歌っても実はあんまり盛り上がらなくて。バンプはね、カラオケで歌っちゃダメだと思うね。藤原君の声じゃないとだめだと思う。これも個人的な見解ですけどね、あくまでね。

 これはもっと声を大にして言いたい。草野マサムネがオンリーロンリーグローリーを「肥大化した自我に許しを与えてくれる歌」と評してくれたんですよ!!!!

 私もオンリーロンリーグローリーが好きです...好きだけど恥ずかしくて言えないなんてレベルで好きです...。だってだって、肯定を求める凡才が自分で自分に丸をつけて歩き出す曲でしょ?孤独だとか出来損ないの自己だとかまで、許してもらっちゃったらダメになってしまいそうな気がするんですよ。

 こういう曲バンプに多いと思うんですが、「firefly」だとか「Aurora」だとか甘やかされすぎてしまってダメになりそう。「firefly」も好きなんだけど、これを好きだって発言したら、私は諸々をさっさと諦めてきた自分のことだって「黄金の覚悟」なんて言ってしまうみたいで怖いんだ。「Aurora」については後で言及します。

 

グングニル

 

次は彼らのインディー時代のアルバムから聴いてみようと思いますが。インディーズのころからね、なんかすげえバンドがいるらしいって噂はあったんですよ、俺らのところにも。

で、インディーズのアルバムを二枚を買って、聴いてまして。最初は、音もなんかもっさりしていていまいちかなと思いつつ、でも不思議と何度も聴いてしまう中毒性があって。当時ツアー中の楽屋でもよく流してまして、キーボードのクージーと「このバンドなんか聴いてて飽きないよね」なんて話もしてましたね。

 

二枚目のアルバムに入っている曲なんですが、サビの高揚感が素晴らしい。歌詞も物語が映像になって見えてくるそんな曲です。

 

 グングニル北欧神話オーディンの持つ槍の事です。だから歌詞に「世界の神」とのフレーズが多用されるのね。私としては「その槍は万物を貫く」ってイメージです。(どっから来てんだろこれ)

 初めて聴いたのは中学二年生の時。TSUTAYAのアルバムコーナーとyoutubeを往復してバンドをあさっていた時に、ニコ動の転載を観ました。特に何があったわけでもないのに、涙が止まらなくて。しばらくして、これはグングニルとの題の通り、初志貫徹の曲だから、勇者を奮わせ、敗者を泣かすのだなあと。感想もなんだか、中二っぽくなってしまった。恥ずかしいから黙ります。

 

以下はマサムネさんと藤くんの出会いのお話。

BUMP OF CHIKENのボーカル藤原君と、初めて会ったのは下北沢で、スピッツくるりが対バンしたことがありまして、2000年だったかな、シークレットライブだったかも、その時の打ち上げであったと思うんだよね。違ったらごめんだけど。何話したかもあんまり覚えていないんですけど、そのあと2008年にロッキンオンジャパンの表紙を2008年にストレイテナーホリエくんと三人で飾らせてもらったことがあって、その時ホリエ君とは初めてだったんだけど、藤原君とはもう面識があったんだよね。その時のジャパンの記事に二人が初対面て書いてあったんだけど、それはたぶん事実と違うと思うんだけどな。

 

③ハルジオン

 

次はメジャー1作目のアルバム『Jupiter』から聴いてみたいと思うんですが、ここは天体観測ではない曲をいこうかな。天邪鬼的にね。この曲、名作の絵本を読んだ後のような心が浄化される名曲だと思います。

  Aメロ・Bメロまで抑えていたものをサビでガツンと吐き出す1曲。「まだ 虹を作ってる」というフレーズのリズムが好きです。

 ハルジオンの花言葉は「追い求める愛」だそうですが、この曲の意味と直接関係があるのは、貧乏草との別名では。どんなに過酷な状況でも何度も咲くこの習性が「揺るぎない信念」なのだと思います。

 先程、初志貫徹なんて言葉を書いたんですが、そういった曲って世の中腐るほどあるじゃないですか。夢は諦めなければ叶うだとか、努力を継続しろって歌う曲。この曲も「揺るぎない信念」について歌う曲なんですが、キーは花がかれることだと思うんです。挫折を経験し夢を諦め、「希望と遥かな距離を置いた」主人公が、また別の希望に出会う。目標が別のものに変わっても、今よりもいい自分になりたいという向上心を折らない。人間臭くていい曲だなぁと思います。

 

④才悩人応援歌

 

メジャー3枚目の『orbital period』というアルバムから「才悩人応援歌」という曲を。この曲は バンプの究極ツンデレソングとでも言いましょうか。Aメロ・Bメロでツンとされて、サビで抱きしめられるような感じの曲だと思います。曲はしっかりロックで最高です。歌詞も最高だね。「好きだったミュージシャン 新譜暇つぶし 売れてからはもうどうでもいい」この歌詞をそういわれる側が歌ってるというね。

 ありがとうマサムネさん...。このツンデレって表現わかります。「痛いってほどわかってた 自分のためのあなたじゃない」だとか「死にたくなるよ なるだけだけど」なんて痛々しいフレーズを散りばめてから、「自分のために歌われた歌などない」と突き放し、あの優しいサビに入る。この曲だけは自分のために歌われた歌だなんて勘違いしてしまうよ。

 このように、バンプの曲は自分を救うのは結局は自分なんだという救いようのない現実を教えてくれる。「ウェザーリポート」のラストフレーズ「相合傘一人ぼっち それを抱きしめた 自分で抱きしめた」なんてフレーズも象徴的ですよね。それでも、彼らは優しいから1人で歩くために、彼らの曲を杖にしていいと言ってくれる気がするんです。また恥ずかしいことを言ってしまった...。

 

⑤HAPPY

次の曲は16枚目のシングルの「HAPPY」という曲ですね。この曲は泣きそうになったんじゃなくてマジに泣いた曲ですね。震災の年に移動の飛行機とか新幹線で繰り返し聴いてました。オンリーロンリーグローリーとどっちが一番かなと迷う曲なんですけども。尺が6分ぐらいあるんですけど、全く長くかんじないです。バンドのサウンドも、ギターもリズム隊もクリアで迫力があって、今でも元気を出したいときにたまに聴いています。

 本当に危うい時に「効く」毒抜きのような曲ですよね。イントロのカッティング(でいいのかな)から幸福感が溢れているのに、そこに乗せる歌詞は擦り切れそうな疲労感でいっぱい。そんな曲調だからこそフレーズの一片一片が刺さる。わざわざ抜き出すようなパワーフレーズがないって凄くないですか?全編にわたって力のある歌詞。

 あえてあげるなら「優しい言葉の雨」と「HAPPY BIRTHDAY」という歌詞ですかね。

 「優しい言葉の雨」というのは文字通り温かい言葉が雨のように降り注ぐ様なのか、温かい同情の言葉がかけられるものの心を刺すという意味でとるのか、おそらく前者なのだろうが聴くたびに考えてしまう。

 「HAPPY BIRTHDAY」という言葉も誕生日だから生きることを称賛する言葉を選んだのか、この曲を聴いて考えを改め、生き続けることを選んだ人に生まれ変わりの記念日として祝福を送るのか、どういう意味か図りかねています。

 

⑥Aurora

 

今年リリースの最新作からいってみたいんですが、「Aurora」という曲なんですが。今回のアルバム「aurora arc」ジャケがすごいいい。絶対ジャケ買いしちゃいますね。アルバムタイトルも「aurora arc」だし、この素敵なジャケに一番合う曲かもね。タイアップのドラマ「グッドワイフ」も観ていたんですけれど、すごく面白いドラマだったんですけれど、バンプの曲が始まると、そっちに気持ちが持ってかれちゃって、ドラマに集中できないというね。ドラマのBGMにはバンプの曲は向いていないんじゃないっていう。単にバンプが好きだからかもしれないんですけど。そんなことを思いながら聴いていました。

  今回、マサムネさんが選んだ中で唯一のキラキラ系バンプですよね。エレクトリカルで透明感と高揚感と疾走感のあるサウンド。藤くんの声も優しくて、非常に聞き心地がいい。

 歌詞としては「オンリーロンリーグローリー」の項で、軽く触れた通り、悩む人の現状と過程を認めてくれる、優しい曲だ。

 MVや「グッドワイフ」は徹底的に理不尽で、中盤で見るのを辞めたら立ち直れなくなるぐらいに打ちのめされる。この曲があるから2つとも見れたんだなぁとぼんやり思います。なんというか、カタルシスを産むような組み合わせだなぁと。あぁくっそ、締まんないのに終わってしまう。

 

 最後に草野マサムネ氏はこんな言葉でラジオを締めくくっている。

バンプは俺、ライブも久しく見れていないので、どっかで見れたらいいなと思っているんですが…。

   いつか、彼らとマサムネさんの5ショットが見れることを願って、本稿を締めます。

 

p.s. スピッツバンプのカバーしてくれないかな...

マイクを譲るあなたへ

 2月はあまりにも逃げ足が早い。去る3月も気がつけば目の前にいる。

 3月7日でテアトル新宿での「21世紀の女の子」は最終上映を迎えるらしい。あまりにも早すぎる。その日を迎えるまでにできるだけ多くの人をはっとさせて欲しいとと願うばかりだ。

なんて書いたのは数ヶ月前。小さくなってもその灯は眩く点っている。終わらないでくれ上映、そして早く終わってBDを、と苦しむ毎日です。

 

 「21世紀の女の子」は鏡のようだった。訴えかけられるその内容を私はどこかで知っていた。それでも形にできなかった。だからこそはっとさせられた。

 あえて私たちと括らせてもらおう。私たちは、どこかでカテゴライズされることを嫌い、また求めている。そのくせに自らは同じ目で他人を測る。個でいたいのに誰かと繋がりたくて、接点を持って火傷する。どんなに心が通っても分かり合えないことだけを分かりあって寂しくなる。大人になりたかった少女時代を経て、大人になりたくないと大人になって言う。生きているだけで息苦しくて他人をすり減らしながら、自分をすり減らしている。

 

 こんなことを考えてしまうのは中二病か?こじらせてるか?自意識過剰か?もうなんでもいいわ。内向的でもなんとでも言ってくれ。ただ、私らはこの感情を上手くまとめられない。それなのに山戸結希、あなたはなんなんだ。

 

 そんな言葉にならないもろもろを、鮮やかな色彩を使ってまとめあげてしまった。目のあたりにされてしまった。

 

 公開初日。舞台挨拶で彼女は言った。「まだ撮られていない世界の半分」と。男脳だとか、女脳だとか好きじゃないんです。だけど、それでも、世界の半分しか分からないことが、世界の半分しか発せないことが、世界の半分が今まで言えなかったことが確かにある。それをきっと普段は寡黙であろうあなたが発信するのか。

 

 セーラージュピターを選ぶあなたよ、マイクを譲り続けてもカメラだけは手放さなかったあなたよ。あなたが伝えたいことが私に伝わっているのかはいざ知れず、しかし確かに受け取りました。

 あなたが口に出来なかった様々をスクリーンを通して受け取り、私も当事者になろう。私は作る側にはなれないから、貰った衝動であなたの輪郭をなぞるよ。

 たかだか同じ時代に生まれて、たかだか生物学上同じ性と言うだけだけど、これを見た私は特別だ。なんて言いたくなっちゃった。

 

 これに女の子なんてつけるのは残酷だ。縷縷夢兎の衣装を見て少女趣味だと思うなよ?すごいものが見たいならこの映画を一緒に見に行こう。もしくは「ホットギミック ガールミーツボーイ」を。(らす)